オンライン決済サービスのStripeが年次カンファレンス「 Stripe Sessions 2024 」で、不正使用をチェックするAIツールの追加や従量制課金のアップグレードなど、50種類以上の新機能をアップデートしたと発表しました。記事作成時点でリリース予定の新機能は250種類以上あるとのことで、今回発表されたのはその一部とのことです。
Stripe Sessions: 50+ announcements, including AI-powered payments, major upgrades to Connect, interoperability, and more
https://stripe.com/jp/newsroom/news/sessions-2024
Our biggest product updates from Sessions 2024
https://stripe.com/blog/biggest-updates-sessions-2024
Stripe, doubling down on embedded finance, de-couples payments from the rest of its stack | TechCrunch
https://techcrunch.com/2024/04/24/stripe-doubling-down-on-embedded-finance-de-couples-payments-from-the-rest-of-its-stack/
Stripeは、AIで決済を最適化する「Optimized Checkout Suite」で、顧客ごとに最適な決済方法をAIが判断し提示する機能を発表しました。対応決済方法にはAmazon Pay、Revolut Pay、Zip、TWINT、Swishなどが追加されます。
さらにダッシュボードから直接取引の規模や通貨、購入者の所在地に基づいてチェックアウト時に表示される支払い方法をカスタマイズできるようになるとのこと。また、コードを使うことなく、ダッシュボードから決済方法のA/Bテストを実行することが可能になるそうです。Stripeは「Optimized Checkout Suiteに移行した企業は収益が平均で11.9%増加します」と述べています。
Just announced at Stripe Sessions:
Adaptive Pricing
Automatically show local currencies for 40 countries. Now available to businesses in the US, EU, UK, and CA.Organizations
Group multiple Stripe accounts together and manage your business centrally.A/B testing payment… pic.twitter.com/JWaxubrXRQ— Stripe (@stripe) April 24, 2024
AIを用いた不正対策の強化については、インターネット上の不正が2023年に11%増加した一方、機械学習を活用してクレジットカードの不正利用を検知するStripe Radarを使う企業においては10%減少したとのこと。今回、Stripeは自然言語で不正ルールを設定できる「Radar Assistant」の提供開始を発表しました。Radar Assistantを導入することで、新ルールをバックテストし、不正はブロックしつつ誤検知を増やさずに済むかを確認できます。
Stripe Connectでも、大幅なアップグレードが実施されます。118カ国対応で埋め込み可能なコンポーネントが17種類用意され、プラットフォームが金融サービスを自社サイトに簡単に組み込めるようになるとのこと。また、プラットフォーム企業がどの機能を自社で持ち、どの機能をStripeに任せるかがより柔軟に選択可能になるそうです。
Updates for Connect platforms announced at Stripe Sessions:
Embedded components
Use 17 pre-built components to add onboarding, payment method settings, and tax directly to your platform-with your brand.Faster access to Stripe Capital
Complete onboarding from the Dashboard and… pic.twitter.com/Li1L4C6zyJ— Stripe (@stripe) April 24, 2024
また、新しいMeters APIを使用することで、顧客が製品をどれだけ使用したかに基づいてリアルタイムで料金を請求できるようになるとのこと。さらにApple App Store と Google Play から取引をインポートして、収益認識をまとめられるようになります。
そして、複雑な収益モデルへの対応として、使用量に応じて課金する「従量制課金」の完全サポートがスタート。顧客の製品・サービスの利用状況をStripe内で追跡し、それを踏まえた課金が可能になるとのこと。Stripe Taxは57カ国に拡大し、アメリカでは税務申告の自動登録・申告にも対応予定。Stripeによると、実際にClaude 3を提供するAnthropicは、Stripe Billingでサブスクリプション管理を行い、Stripe Invoicingで請求書発行を自動化しているそうです。
New Revenue and Finance Automation tools announced at Stripe Sessions:
Usage-based billing
Charge customers based on how much they use your product in real-time with our new Meters API.App store connectors
Import your transactions from the Apple App Store and Google Play to… pic.twitter.com/0EtWCgcd1S— Stripe (@stripe) April 24, 2024
他社の決済プロバイダーとの連携では、「Optimized Checkout Suite」「Stripe Billing」「Stripe Radar」の3つの主要製品を、他社の決済プロバイダーで処理している企業でも利用可能になりました。これにより、大手企業が既存の契約に違反することなくStripeの製品を活用できるようになります。
パートナーエコシステムの強化については、Stripe App Marketplaceのアプリ数が70から150に増加し、Salesforce、Netsuite、Adobe向けの新アプリも登場しました。Stripe Terminalは、Oracle OPERA、Teamwork Commerce、Erplyなどの各サービスと新たに連携。さらに、Stripeとカード会社のパートナーシップ「Enhanced Issuer Network」にAmerican Expressが参加することが発表されました。
細かいアップデート内容は、以下の変更履歴のページにまとめられています。
Stripe Blog: Changelog
https://stripe.com/blog/changelog
Stripeのパトリック・コリソン氏は「私たちの使命は、インターネットのGDPを成長させることです。Stripeの戦略は、世界で最も洗練され革新的なビジネスのニーズに注意深く耳を傾けることです。2024年にStripeは、ユーザーがますます複雑化する決済環境に対処し、AIを活用して成長を促進できるよう支援する有利な立場にあります。また、Stripeをよりモジュール化して、企業がStripeの最も有用な部分だけを使用できるようにします」とコメントしました。
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